「複雑なパスワードを設定し、定期的に変更する」。
かつてはこれが情報セキュリティの正解として広く語られてきました。しかし2026年の今、その常識は見直しの時期に来ています。従来の「パスワードは複雑にして定期変更をすること」という考え方が、いまの利用環境では必ずしも有効ではなくなってきています。
仕事でも私生活でも多数のサービスを使う時代、昔の常識をまじめに守ろうとすること自体が、かえって新しい隙を生むことがあるのです。
その背景には、パスワードを取り巻く環境の変化があります。
IPAの「情報セキュリティ10大脅威 2026」(※1)でも、個人向け脅威として「インターネット上のサービスへの不正ログイン」「フィッシングによる個人情報等の詐取」「クレジットカード情報の不正利用」などが引き続き挙げられています。つまり、パスワードは単なる個人のログイン情報ではなく、企業活動や顧客情報にもつながる重要な入口になっているということです。
(※1)https://www.ipa.go.jp/security/10threats/10threats2026.html
なぜ「頑張る管理」が逆に危ないのか
問題は、人が無理をすると運用が崩れることです。
複雑で覚えにくい文字列をサービスごとに作り、さらに定期変更まで求められると、似たパスワードの使い回しやメモ書き、ルール化した安易な変更が起きやすくなります。表面上は厳格でも、実際には攻撃者に読まれやすい運用になってしまうわけです。
私もこの状況に覚えがありますし、お読みいただいている皆さまも覚えがあるのではないでしょうか。
徳丸氏の4月セミナー(※2)でも、個人アカウントの乗っ取りと企業の大きな事故は「地続き」であり、日常の油断が仕事を止める原因になり得ると説明されています。
特にWeb担当者や新人エンジニアが意識したいのは、管理画面やCMS、クラウドサービスの認証です。こうした領域では、1つのアカウントが乗っ取られるだけで、改ざん、不正送信、情報漏えいなどが連鎖するおそれがあります。パスワードの問題は「利用者個人の注意」に閉じる話ではなく、企業のWebセキュリティそのものに直結するテーマです。
(※2)https://www.eg-secure.co.jp/seminar/20260422
2026年版・いま見直したいパスワード対策
では、いま重視すべきなのは何でしょうか。
第1に、短く複雑なパスワードを頻繁に変えるより、「長くて推測されにくく、サービスごとに固有のパスワードを使うこと」です。
第2に、「多要素認証」を有効にすることです。パスワードが漏れても、追加の認証要素があれば被害を大きく抑えられます。
第3に、共有アカウントや不要になったアカウントを「放置しない」ことです。強いパスワードだけでは守れず、アカウント運用全体を見直して初めて、実効性のある対策になります。
加えて、認証を根性論で支えるのではなく、仕組みで守る発想も欠かせません。
徳丸基礎試験認定(※3)でも、認証、アカウント管理、セッション管理、クッキー属性などが重要な学習項目として挙げられています。つまり、2026年のWebセキュリティでは、パスワード単体ではなく、ログインの前後を含めた設計全体で守ることが求められているのです。
(※3)https://www.phpexam.jp/tokumarubasic
学びを深めるなら、認証の基礎から
パスワード管理の見直しは、単なる運用ルールの変更ではありません。認証やセッション管理の基本を理解してこそ、「なぜそれが危ないのか」「なぜその対策が有効なのか」を判断できるようになります。徳丸本では、認証・アカウント管理・セッション管理に関わる考え方を、脆弱性の原理とあわせて体系的に学べます。Web担当者や初級エンジニアこそ、断片的なノウハウではなく、土台となる知識を押さえておきたいところです。
まずは徳丸本の関連章で、認証やセッション管理の基本を学んでみてください。そのうえで、徳丸本の関連章を学び、徳丸試験で理解度を確認するのがおすすめです。パスワード運用の「昔の正解」に頼るのではなく、2026年の現実に合ったWebセキュリティの基礎を身につけることが、これからの実務ではますます重要になります。
【徳丸本】
体系的に学ぶ 安全なWebアプリケーションの作り方 第2版 脆弱性が生まれる原理と対策の実践
徳丸浩のWebセキュリティ教室

